なりゆきまかせの巡礼者 (ペレグリーノ)
6/19
「スペインはカミーノが面白い!」
旅仲間からそんな話を聞いて、今日からキリスト教の聖地巡礼 カミーノ・デ・サンティアゴ(Camino de Santiago) に参加することにした。
なんでもカミーノは日本で言うところの四国巡礼のようなもので、毎年約10万人が聖地を求めスペインを横断するらしい。
例のごとくロクに下調べをせずにスペインに降り立ったため、とりあえずサンティアゴ(Santiago de Compostela)の街に移動して情報を集める事に。
しかしカミーノオフィスを訪ねると、スタッフが開口一言。
「カミーノはこの街がゴールです」
・・・
衝撃の事実が発覚。
どうやらカミーノは四国巡礼と違い、ちゃんとコースが決まっているらしい。
しかし間違って最初にゴールに来てしまったのも、きっとなにかの縁なのだろう。
そう思ってカミーノの道のりを、あえて自転車で逆走することにした。
この判断がどんな縁を引き寄せるのか? 今からとても楽しみだ。
Ps、この日は道半ばで日が暮れたため、道端のバス停で野宿することになる。
・・・初日からえらいハードだが、これも1つの縁として受け入れる。
6/20
朝6時起床。寒い。
無数の鳥の鳴き声と、顔を出したばかりの真っ赤な朝日で目が覚めた。
大自然の目覚まし時計。 これはちょっと贅沢かもしれない。
朝食にリンゴをかじりながら健康チェック。
膝 : 痛い 腰 : とても痛い 腹 : 冷した
2か目にしてボロボロかw
早いとここの日常に体を慣らさなくては。
Ps、 この日は50㎞進んだ。シャワーを浴びてベットで寝れる幸せを噛み締める。
6/21
山中で迷子。
ここはどこだ!?
気づいたら大きくカミーノウェイからはぐれてしまったらしい。
カミーノでは道に迷わないようにそこら中に表示看板が置いてあるが、書いてあるのはサンティアゴまでの道のり。
どこへ行くのかは教えてくれても、どこから来たのかは教えてくれないらしい。
結局地元の人を捕まえて、正しい道を教えてもらうまで数時間かかった。
この日はすさまじく疲れたため、目的の街につき次第道端に大の字で倒れて少し寝た。
人目なんか気にするものか。 どうしようもない時というものはある。
Ps、山越えの途中で水が尽きたため、用水路の水をすする。
上澄みのみ飲むようにしたが、不純物が除去しきれない・・・
6/23
今日は最初の難関、標高1337mのオ・セブレロイ峠越えに挑む。
重装備の自転車にとって、上り坂は恐怖以外の何者でもない。
天候は霧雨。 数メートル先が見えない。
喉が乾かないのはいいが、対向車が見えないのは怖い。
白濁した視界の中、一人自転車を押して進んだ。
12時、無事山頂の村へ到着。
同時に囲っていた濃霧が一斉に晴れ、視界に遠くまで続く山間の絶景が広がった。
ここまできたご褒美だろうか? お天とさんも粋なことをしてくれるものだ。
Ps、 逆走をしていると、様々な巡礼者(ペレグリーノ)に出会える。
大抵は皆歩きか自転車だが、例外として ・・・
競技用の車椅子、2人乗り自転車、白馬、犬たちと一緒、ロバを引き連れて、半裸、ほぼ全裸、乳首回りがヒモのみ(男)
等 バラエティに富んでいるので見ているだけで飽きない。
毎日100~300人と出会う事ができるのは、逆走の利点の1つかもしれない。
まあその出会いが一瞬で終ることが汚点なのだが。
6/25
2つ目の難関、標高1530mのイラゴ峠越えに挑む。
天気は晴天。日中は37℃まであがるらしい。
日が上りきるまでにどこまで進めるかが勝負だろう。
日陰1つない山道を、ただただ一人自転車を押して進んだ。
午後1時、ようやく山頂のイラゴ峠に到着。 人間やればできるものである。
この峠には有名な鉄の十字架が建っていて、巡礼者は故郷から持ってきた石を思いを込めて足下に積むのが習慣になっている。
でも自分は故郷から石など持ってきていないので、代わりにサハラ砂漠で拾った鉄鉱石を積んできた。
思い入れがある石には代わりない。
この道を歩く、全ての旅人の健康を祈願する。
6/27
この日はシスター達のミニライヴが聞けることで有名な、カリオン・デ・ロス・コンデス(Carrion de los Condes)の街の協会付属のアルベルゲル (巡礼者用の宿) に泊まる。
シスター達のライヴは夕方から開催され、数曲披露した後は宿泊客達のアカペラカラオケ大会に。
その日唯一の日本人客ということで1曲歌う羽目になったため、日本のゴッドソングと偽り「千の風に○って」を披露した。
神様と死者は別物のような気もするが、両方とも良心に訴えかけてくる存在という意味では自分の中では一緒。
死んで神様扱いされてる人も多数いることだし、あながち間違ってもないのだろう。
因みにライヴ結果はやや受け。 即席にしては及第点。
Ps、後日「千の風にな○て」自体もともとアメリカの曲だと知る。
やらかしたのがアメリカじゃなくてよかった。
6/30
サント・ドミンゴ・デ・ラ・カルサーダ(Santo Domingo de la Calzada)着。
790㎞の道程も、気づけば567㎞のところまで来ていた。
このままのペースで行けば、後数日でゴールにたどり着く事だろう。
ブログを書きながら振り返るが、本当にあっという間の日々だった。
毎日全力で走って
毎日沢山の人に出会って
毎日新しい景色に触れて
心のそこから充実した日々ももうすぐ終わりを告げるのかと思うと、少し寂しくなった。
・・・まあ、チャリダー生活自体は後数ヵ月続けるのだけど。
ゴールについたら何をしようか?
ガッツり数日間寝込むのもいい。
スタートをささやかに祝う人たちの横で、やたらテンション高く一人ゴールを祝ってみるのも面白いだろう。
まあたどり着いてから考えればいいか。
とにかく今は全ての縁に感謝して、この充実した毎日を心の底から楽しもうと思う
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