8月30日
イタリアから船でアドリア海を渡り、バルカン半島の西に位置する東欧の国 クロアチアに向かった。
クロアチアは日本の九州程のサイズの国で、元々はバルカン半島の大半を有するユーゴスラビア連邦の一員であったが、民族性の違いから1991年に独立。
その後しばらく紛争が続いた事、独立してまだ24年と比較的新しい国であるということからか、日本人にとっては少々馴染みが薄い国である。
馴染みの薄さには個人差があるかもしれないが、少なくとも自分にとってはつい先日まで「クロアチアってアフリカですか?」と真顔で聞けるぐらいには馴染みのない国であった。
そんな馴染みのないクロアチアに行くことにしたのは、スイスで出会った岡野さんに熱心に薦められたのが切っ掛けだったりする。
岡野さん曰くクロアチアには、「無数の湖と滝が織り成す幻想的な自然公園」と「映画 紅の豚 や 魔女の宅配便 の街のモデルになった絶景の街」という2つの大きな見所があるとのこと。
その時写真を見せてもらったが、確かにお薦めしたくなるのも分かる絶景であった。
イタリアから船で1本だし行ってみるかー
ルート変更にも無理のないタイミングだった事もあり、そんな軽い気持ちでクロアチアを予定に組み込むのだった。
朝7時、クロアチアの海の玄関口、スプリト(Split)の街につく。
身体中が痛い・・・
因みに昨晩の寝床は、フェリー船内の床だったりする。
フェリーの最低ランクのチケットが、まさかの部屋なしで「廊下で寝て😃」と言われるとは思わなんだ・・・
廊下と書いて寝床と読む
寒い。
「最低ランクチケットだから雑魚寝部屋かな~」なんて、部屋ありきで考えてた僕が甘かったようです。
クロアチア上陸。
降りたら目の前にバスターミナルがあったので、自然公園行きのバスチケットを購入した。
スプリトからは絶景の街行きのバスもあったが、お互い方角は南北で逆。
クロアチアを出たあとはギリシャまでバルカン半島を南下するつもりなので、南にある絶景の街は後に回し、先に北の自然公園に行くことにした。
バスの出発は1時間後。
それまで暇潰しに売店をさ迷っていると、偶然日本人の女の子に遭遇した。
彼女の名前は庄ちゃん。
自分とは逆回りで世界一周中らしい。
お互い久しぶりの日本人ということで、旅の話で盛上がった。
バックパッカー、庄ちゃん
多分マイナスイオン発生機に並外れた行動力を搭載すると彼女ができあがる。
庄ちゃんは北から下ってきてもうクロアチア終盤らしく、あとはこれから南の絶景の街へ行って首都へ引き返すのだとか。
ビス島の青の洞窟や首都の失恋博物館なんて面白かったですよー・・・なんて、クロアチアの他の見所を可愛くお薦めしてくれた。
例のごとくろくに調べずに入国してしまったので、体験されたばかりの生きた情報はとても助かる。
お返しにこちらもヨーロッパの情報を渡しておいた。
しかし庄ちゃんと会話してると癒されるわー・・・
庄ちゃんの乗るバスはすぐに出発してしまったので、一緒にいたのは結局30分足らず。
しかし何故だか後ろ髪を引かれるように、一緒に過ごした売店を振り向きながら自分のバスへ乗り込むのだった。
バスが道中で突如故障
代車が来るまで全員炎天下に放り出される。
前途多難。
途中休憩で立ち寄った休憩所は、スタッフに猟師がいるのか動物の剥製展示会場になっていた。
クマ、シカ、イノシシ、キツネ、アナグマ・・・
ほとんど日本と変わらないラインナップに少々驚きつつ、クロアチアの森では野宿しないぞと固く誓う。
スプリトからバスで揺られること5時間。
本日の目的地、プリトヴィツェ湖群国立公園に到着した。
プリトヴィツェは先述の通り、無数の滝と湖が織り成す自然公園である。
見所は上流の小湖群と下流の大滝群に別れており、面積自体もかなり広い。
なのでほんとは1日かけてまわりたい所だけど、ついた時点で時刻は昼過ぎ。
帰りのバスが夕方には来てしまうので、残念ながら今回は足早にまわることにした。
プリトヴィツェ湖群国立公園の全体図
湖群の周囲は切り立った崖と深い森に囲まれている。
東西のエリア間の移動は船で
船から下を覗きこむと魚群
水が透き通りすぎて魚が宙に浮いているように見えた。
上流の小湖群
透き通った水と清らかな滝は見ているだけで癒される。
船で下流へ
水の透明度が高すぎて、船すらも宙に浮いて見える。
こじんまりした景色の多かった上流と代わって、下流はダイナミックな滝や湖が売り
しかしどっちも絶景です。
不揃いの間伐材で作った遊歩道が良い味出している
有名なアングルから1枚
たっぷり公園の魅力を堪能していたら、気づけば時刻は夕方。
バスの出発時間が迫っていた。
プリトヴィツェからは、首都 ザグレブのある北と、スプリトのある南へと向かう2方面のバスがある。
絶景の街は南にあるのでスプリトへ戻るべき・・・なのだけど、朝からどうしても気になり続けてる事があった。
そう、庄ちゃんのこと
小柄で可愛い、行動力と勇気のある女の子
今日中に首都ザグレブへ引き返すと言っていた女の子
あぁ、頭から離れない
そんな庄ちゃん
・・・が教えてくれた、首都の失恋博物館
気になる
めっちゃ気になる
なんだこの名前からして「ネタにしてください」と言わんばかりの館名は。
世界中にある博物館の中でも、メキシコのミイラ博物館以上の面白臭がする。
なにせ展示品が「物」ではなく「失恋」である。
どういうこっちゃねん
これで興味を惹かれないわけがない。
結局好奇心には勝てず、目的地から遠ざかるにも関わらず首都行きのバスへ飛び乗るのだった。
こんなにも失恋が楽しみなのは、生涯後にも先にもこれっきりだろなーw
・・・と、言うことでやって来ましたクロアチアの首都 ザグレブ(Zagreb)
東欧ということで多少警戒していたのだが、予想に反して綺麗で整っておりその美しさは西欧の街並みにも引けを取らないようだ。
が、そんなことはどうでも良い。
わざわざ遠征してまで首都に来た理由はただ一つ。
一直線に目的地に向け街並みを駆け抜けるのだった。
首都ザグレブの街並み
街中を走るトラムはダイヤが決まってないのか、勢いまかせに突っ込んではトラム同士でかち合いまくっていた。
「電車に渋滞はない」という概念を覆すための、新たな挑戦であると思われる。
いりくんだ路地を抜けて丘の上まで上がると、立ち並ぶ民家の中にお目当ての目的地が見えてくる。
ジャーン
Museum of Broken Relationships
ここが和名 失恋博物館らしい。
かなりこじんまりとしている。
とりあえず入場するか。
ここ失恋博物館はその名の通り、「失恋とその遺品」がコンセプトになっており、世界中から寄贈された思いでの品とそれに纏わるエピソードが展示されていた。
その内容はなんてことないカップルの破局から、熟年離婚、禁断の愛(浮気)、死別、黒歴史にしかならないような思い出ポエムなど笑える物から泣けるものまで千差万別。
人あるところに歴史あり
たった数部屋しかない小さな博物館であったが、どこまでも「人間の感情」という物について深く考えさせられる素晴らしい博物館であった。
遠征してきて本当によかったと思う。
入り口でガイドブックを渡されるので、英語ができなくても楽しめる。
せっかくなので多くの人に興味を持っていただけるよう、一冊の本に纏わる物語を紹介したい。
「ボブ ディラン タランチュラブック
17才の時に、アメリカのボーイフレンドから貰った本。「獰猛な狼が好きな○○へ」と私に宛てた手紙が書いてあった。
そんな彼が、その後何年も私の両親をつけ回し、最終的には性転換し、挙げ句の果てに、生まれ変わった自分の名前として私の家族の名前を使うとは、その時は想像もしてなかった。」
・・・
事実は小説より奇異なりと言うが、確かに理解ができるだけ小説の方がまともである。
さてそんな失恋博物館だが、現在も絶賛失恋の寄贈を募集している。
今回展示された中には日本人の物は無かったので、是非我こそはと思う方、自分の傷を笑い話に変えてしまいたい方、自分の失恋を誰かの勇気に変えたい方は是非博物館へ一報入れていただきたき、日本の失恋も世界にアピールしていただきたい。
今日も失恋博物館では、世界中の失恋の傷をアートに昇華し癒している。
そんなクロアチア前半戦でした。
失恋博物館の入り口にまねきねこ
客を呼び込んでいるのか失恋を呼び込んでいるのかは不明。
クロアチアの名物料理のB級グルメ、ブレク(Burek)
一口なら美味だが、油っこいので完食すると確実に胃もたれする。
あなたの背後にもSM男が現れるかも(海外出店的な意味で)
街の電柱
平和そうに見えるクロアチアだが、20年前の紛争の傷は見えないところに残っているのかもしれない。
鉄道に乗って、いざスプリトへ大返し!
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