What is Your Dream?

2015年4月3日から、世界一周中の25歳♂です。
世界中の人に夢を尋ねてそれを紹介するブログができたら。そんな理想と、
そうは問屋が卸さない現実の壁に世界中で四苦八苦する様子をお届します。
人生やらかしてなんぼ!まってろ、世界!! 
※2016年3月23日に無事ゴールしました! 応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました!

アルプスに挑む者たち



突然だが愛知県出身の戦国武将に、佐々成政という男がいる。


彼は織田信長の部下として各地で活躍し、最後は富山県の大名にまで登り詰めた名将である。


しかし彼は武将としてではなく、実は登山家としての方が名高かい。



なにせ彼、1584年に真冬の日本アルプスに挑み、当時の装備で立山山系を踏破して富山県から静岡県まで縦断しているのだ。



しかも往復。



彼にとっては周囲の敵に見つからないように徳川家康に会いに行くための苦肉の策だったようだが、彼の通ったとされるコースは現代の登山装備でも死人が出る難易度である。



結局家康との交渉は破談となる訳だが、代りにこのアルプス越えの偉業は「越中さらさら越え」と名付けられ、現在日本の登山史に輝かしい歴史として刻まれている。



本人としては不本意だろうけど。




愛知県の出身(尾張)で真冬のアルプス踏破・・・



これは同じ愛知県出身者(三河。自称尾張のライバル)として負けられないな!



よし!向こうが真冬の日本アルプスならこっちは真夏の本場のアルプスだ‼




そんなノリで挑むことにした今回のアルプス越え。


紆余曲折の結果できた日程がこちらである。



初日 Grimsel峠 (標高2164m)
2日目 Zermattの街 (標高1620m)
3日目 Gornergrat (標高3089m)※登りは登山列車を使用。下りは徒歩。
4日目 Simplon Pass峠 (標高2005m)





・・・



自転車で越える標高じゃないΣΣΣ




自分で企画しといてなんだが、正気の沙汰じゃない。


そりゃアルテンドルフのサイクリングチームもクレイジーって言うわな・・・




まぁやると決めた以上は腹をくくるしかあるまい。


気合いを入れ直し、アルプス山脈に挑むのだった。




初日(8月15日)



朝8時発。


グリンデルワルトから標高500mのインターラーケンの街まで一気に駈け降り、そこからは時計回りにユングフラウの山脈の裏へと回り込む。



回り込む際、途中ユングから連なる山脈にぶつかる峠が今日の目標、Grimsel峠だ


標高こそ2164mと高めだが、看板を見ると麓からの行程は26㎞。傾斜はそこまできつくないのかもしれない。



今日中に下山を目指して午後2時クライムオン。


天候は小雨のち大雨。止む気配はない。


あっという間に全身ずぶ濡れ




途中のレストランで雨宿り
体が温まりそうな物を頼んだつもりが言葉が通じず、なぜかハムとチーズの盛り合わせが出てきた。
美味しいが全く体が温まらないΣ





大雨の中、自転車を手で押しひたすら山道を登る。


道はサイクリングロードの案内板が建つも完全に自動車道。


それは構わないが、雨で視界が利かないので後方から来る車が恐い。




天候、体調、状況 どれも最悪。しかし悪態などつけるはずもない。


なにせ時たま何人かのチャリダー達が、反対側から笑顔で坂を下ってくるのだ。


そんな彼らに笑顔で親指をたてられると、なにも言えなくなるではないか。


同じコンディションの中この峠を越えてきたやつがいるのだ。弱音なんざ吐けるものかってさ。







午後8時、日が暮れてきたので山頂手前の資材置き場トンネルで夜営をする。


がっちりしたトンネルで、水っけが無いのが嬉しい。


身体をよく拭き、出来る限りの厚着をして寝た。


明日風邪をひかなければいいが。




2日目



朝8時起き。


体調はそれほど悪くないが、足の裏の皮がデロっと剥けた。


自転車は漕げるが歩くのはしんどそうだ。



天候は曇り・・・というか、多分ここ雲の中だ。


現時点で標高1900m近いことを思い出す。



今日は昨日越え損なった峠を越えて、アルプスのハイライトであるマッターホルンの麓の街 ツェルマット(Zermat 標高1620m)を目指す。


標高に加え距離も100㎞近くある。予断は許されないな。









登りはじめて1時間、Glimsel峠(標高2164m)に到着。



峠に広がる湖は一瞬姿を現したが、すぐに雲の中へと消えた。


晴れていたらここも絶景なのだろうと思うと、少々悔しい思いがした。








視界の効いた頂上を離れ、雲の中を下る。


視界は最悪。傾斜は急。空気は氷水のように冷たく、すぐに指がかじかんで動かなくなる。


こまめに休憩を入れては、服の中に手を突っ込みかじかんだ指を暖めた。


雨に濡れた道は当然のように滑りやすく、一時も気の休まる暇がない。



「全く、最悪の下り坂だ」



口では悪態をつきつつも、目は多分ギラギラと輝いていた。


北海道で深夜に新聞配達をやっていた頃を思い出す。


苦行上等。だからこそ乗り越えた先に価値があるのだ。




スイスでは峠を越える際、鉄道を使用する車を良く見た
車で峠を越えるのも充分しんどいと見える。





標高1000mに架かる吊り橋を発見
スリル満点だが、相手がいないため残念ながら吊り橋効果は発揮されず。






標高1500m分の下り坂を駆け抜け午後3時、標高600mのVispの街へ。


ここからはツェルマット(標高1620m)まで再度ひたすら登り坂となる。


日暮れまでに着けるか?



道は晴れるもツェルマットの方角に厚い雲。
ユングフラウの悪夢が頭を過る。





山間にはミニチュアのような可愛らしい風景が広がる



午後5時、丘をひーこら登っていると後方からベルの音。
振り向けばチャリダーが一人登ってくるではないか。


皆が観光列車で優雅な旅をするなか、わざわざこの道に挑むバカが他にもいたのか。


お互い嬉しくなってすぐに仲良くなった。




彼の名はアルピー
ハンガリー人で国から漕いできたらしい。


夢はチャリで世界一周。
大丈夫、あなたなら確実にやりとげられるさ。



彼は別れ際に沢山のお菓子と、マッターホルン付近は天候が悪いが、明日の午前中だけなら見えるという貴重な情報をくれた。


まだツェルマットまでの道程は遠いが、これは意地でも今日中にたどり着かなければなるまい。



ペースが早いアルピーには先を行ってもらい、貰ったお菓子で体力回復。


再度自分のペースで走り出す。日暮れは近いが負けてられまい。




午後8時。ほぼ日が暮れかかるなか、無事ツェルマット着。


しかしどこも宿が埋まっていたため、郊外にこっそりテントを張って野宿する事にした。




深夜帯に大雨が降る。


明日は本当に晴れるのだろうか・・・?






3日目



晴れた。


アルピーグッジョブ!


天候が変わらないうちに急ぎ登山列車へと乗り込み、ゴルナーグラード展望台(標高3089m)を目指した。



ゴルナーグラート鉄道に乗り、いざ天辺へ!








頂上は晴れ。展望台からは遠くにマッターホルン、眼下にゴルナーグラート氷河を望む絶景。


最高だ。


ここまでの旅路が報われる思いがした。



景色を楽しみながら歩いて下山を図るも、天候はすぐに悪化。始終雲の中を歩くことになる。



ツェルマット周辺にはトレッキングコースが無数にある



逆さマッターホルンで有名なリッフェル湖まで下った頃には既に生憎の天気
左の岩山は「世界の果てまで行ってQ」のイモトさんが、マッターホルンに登頂した際クライミングの練習に使用したのだとか。




なを後で知る話だが、前後数日間でマッターホルンが眺められたのは、今日の朝の僅かな時間だけだったらしい。


幸運とアルピーに感謝。


この日は下山後Vispの街まで下った。




明日は最後、イタリア国境へと抜けるSimplon Pass峠(2005m)に挑む。


天候は大雨の予定だが、それでもきっと多くのチャリダーがまたアルプスに挑むのだろう。


峠から下る際に仲間を見かけたら、今度はこっちから親指をたててやろうと思う。


きっと向こうもニカって笑い返してくれる筈だから。





今回知ったのは困難な道にあえて立ち向かう冒険者達は多く、今日もまたアルプスの頂を目指しきっと誰かがペダルを漕いでいるのだということ。



アルプスに挑む全ての愛すべき馬鹿に幸あれ。



彼らは今日も自分の冒険に挑み続ける。






最後のSimplon Pass峠は5時間かけて頂上に到達!
毎度予想通りの大雨に見舞われる。


標高が1700mを越えると100%大雨に見舞われてるのだけど、なんかジンクスでもあるんだろうか自分は?



アルプスの入り口で出会ったドイツ人、イーヴァン
彼はペレグリーノ(スペイン巡礼者)で、故郷のシュトゥットゥガルト(ドイツ)から歩いてアルプス山脈を突っ切り、サンティアゴ(スペイン)を目指す最中らしい。


スケールのでかいチャレンジャーに合うとこちらも元気がもらえる。
先は長いよ。楽しめ、イーヴァン!




そしてイタリア入国!






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